文化の日。

大学は、学園祭のシーズンですね。
この時期になると、思い出す出来事があります。

あれは確か俺が大学３年生の時の学園祭。
初めて買った革ジャンとドクターマーチンのブーツで、形ばかりでもパンクロッカーを気取ろうとしてた頃です。
当時の俺は２２にもなって、彼女いない暦＝年齢 みたいなどうしようもなくモテない男でした。

俺は弱小バンドサークルに所属してました。学園祭ではひとつの教室を借り、ライブをしていました。
俺もお気に入りのパンクバンドのコピーなどで、ステージに上がっていました。

４日間ある学園祭の初日、「ファニーさ～ん（俺の事ね）お客さんですよ～」
入り口の所にいた後輩に呼ばれました。
行ってみるとそこには、スラリと背の高い、顔立ちの整った美人の女の子と、後ろにその娘の友人らしき女の子が２人ばかりいました。
えーっと、誰だったかな・・？などと思っていると、その娘がちょっと恥ずかしそうにしゃべり始めました。
話を聞くと、その娘は１年生で、サークルの説明会の時うちらのサークル員が集まる教室に来た、と。
そこで、対応してた俺が、とにかく面白い事ばかり言ってたので印象に残った、と。
結局このサークルには入らなかったが、なんだかずっと俺の事が気になってて、ここでライブやってるって話を聞いて見に来た、と。
そして、できれば、・・・お友達になってもらいたいと。

・・・・・・！！！！！！！
うおーーーーーーい！！
き、きたーー！！わーっしょい！わーっしょい！（２２歳童貞）

も、もちろん、いいよ。と俺はこのツラ下げてデレデレしながら、少々、いや、かなり恥ずかしがりながら、お友達になりました。
その娘は、当時になっても携帯でメールできなかった俺に、電話番号を教えてくれました。暇なときにかけてください、って。
そして、自分のサークルの模擬店に帰って行きました。

俺はこの事を、サークルの友人、先輩達に話しました。
みんなは俺がまったくモテないのを知っていたので、喜んでくれました。
俺と同じく、やはり全然モテずに、いつも一緒にグダグダ言ってた友人のあべけんにでさえ、良かったな！と言ってもらえました。
これからのアドバイスとか、みんないろいろ教えてくれました。

その日の夜、もの凄く緊張しながら、さっそく俺は電話をかけました。自己紹介しあったりして、楽しくお話できました。
俺は紙に、しゃべることをメモっておきました。

次の日から、その娘のサークルがやってる、わた菓子屋に行ったり、その娘も俺のライブを見に来てくれたりしました。
俺は買ったばかりの革ジャンを着て行きました。カッコいい、と言ってくれました。

あっという間に学園祭最終日、俺は先輩に、そろそろデートに誘え、と教えてもらいました。
夜、俺はその娘に電話しました。
２０分くらい何気ない話をしてました。そろそろ意を決して誘うか！っと思ったその時、その娘が明るく言いました。
「あ、そういえば私、彼氏できたんですよー」

一瞬、何が何だか解らなくなりました。
しかしすぐに俺は、全演技力を総集結させて、
「そうなんだー！よかったじゃーん！」と言いました。
結構、完璧に言えました。
それからは何を話したのかよく覚えていませんが、とりあえずテンションは高い感じで、電話を切ったと思います。

不思議と、何とも無い心境でした。
数回、なんっだよ！ってつぶやいたぐらいだったと思います。

それから約１週間後、朝大学に行く道で、ばったりその娘に会いました。
その娘の横には、男が立ってました。
俺はバカみたいに「おっすー！あ、前言ってた彼氏？すげーカッコいいじゃーん！」て。
ガッチリとして背の高く、彫りの深いハーフのような男前でした。
俺とは１８０度、正反対の男でした。