営業の彼。

職場にセールスの電話が掛かってきました。とったのは親父。
どうやら携帯をソフトバンクにしないか？っつーらしい。
親父はａｕを使っていて「替える気ないよ」と言ったらしいが「行って話だけでもさせてくれ」つって。
そんで次の日の仕事終わり、営業の人がやってきました。俺と同じくらいか、年下かの兄ちゃん。
そんなのを対応するのは、決まって俺なんだけどね。

でまぁ、こんな条件を付ける！やら、商品券も付ける！とか熱心に話すわけですよ。
で、こっちが渋ってると「ちょっと上司と電話させてくれ」って、自分の会社に電話を掛ける。「もうちょっと、いい条件出してもいいですか？」みないな内容ね。

でもね～。その電話が。思いっきり音漏れしててさ～。
その上司とやらが、むかつく口調で説教してるのよ。「なんとしても取って来い！」みたいなね。

でいろいろあって「じゃ、条件は分かったから考えとくよ」っつったら。
「いや、どうしても今日決めて欲しいんですけど」って。
「そら無理だよ。考える時間くらいくれって」
「・・ちょっと・・会社に電話していいですか？」

で、また嫌味な口調で怒られてんの。その子も音漏れしてるっての、気付いてるんだろうな、申し訳ない顔しててね。
しまいにはその上司、「そのお客、真剣に考えてねぇんじゃねぇのか！？」なんて言い出してね。
俺も一瞬、眉をひそめて、おい・・ってな顔したんだろうな。
「いや、真剣に考えてもらってますよ！」ってその子も慌てて。
電話してる途中で、俺もちょっと声大きめで。
「どんな条件だしても、今日中に契約することはできないって伝えてくれ」と。
そんで、話は終わったんだが。

電話切って。
「聴こえて・・ましたよね？本当にどうもすみません！！」と。
俺はもうそん時はね、すっかりこの子に同情っつーか。
なんかもう、かわいそうになっちゃってさ。
「聴こえてたけど、ホント、大変だね～」って。
「俺はあなたには、なんの悪い感情も無いけど、あの上司？だよね？あいつはなんなんだ？すごい怒られてたでしょ？あんなのの下でペコペコしなきゃいけないなんて、ホント、大変な仕事だよな～」なんつって。

そっからはもうプライベートな会話。
ふだんその子がどんな仕事してるか、とか。
入社した時の研修で、洗脳まがいな事された、とか。
そういうのを、喋ってもらって。俺は「そうか～、そうか～」って聞いてて。
しまいには「僕だって正直、その日のうちに契約とるなんて無理だと思ってます。僕だったら契約しないですもん！」なんて(笑)
聞いたらその子の実家は、親父さんがサッシ系の職人をやってるって。
「それ継いだ方がいいよ！こんな理不尽に怒鳴られるような事じゃなくてさ！」って。まぁ、余計なおせっかいまでもね。

「今日はこれからどうするの？」「中野の本社に戻ります」
「じゃ、駅まで乗せてってあげるよ」って車乗せて。
「俺はこんな半ば自由みないな仕事でしょ？俺、サラリーマンってホント尊敬すんだよな。これから怒られるんでしょ？断った俺が言うのもなんだけど・・まぁいろいろ、頑張ってね」なんつって。
「すみません、ありがとうございます」と恐縮してる彼を富水駅に送って帰りました。

サラリーマンは大変だ。